内容説明
#MeToo運動で再注目された、性暴力、売春、ポルノの問題に切り込む、刺激的でユニークな、フェミニズムの名著。
目次
バッド・ガールズ
やるか、やられるか
堕落しきったこの女をレイプすることはできない
敵と寝る
ポルノは暴く
キングコング・ガール
女の子たち、さようなら。よい旅を
著者等紹介
デパント,ヴィルジニー[デパント,ヴィルジニー] [Despentes,Virginie]
1969年、フランス・ナンシー生まれ。現代フランスを代表する女性作家。1994年に『ベーゼ・モア』(邦訳『バカなヤツらは皆殺し』、原書房)でデビュー。『きれいなもの』(未邦訳)でフロール賞、『ヴェルノン・クロニクル』(早川書房)でアナイス・ニン賞など、これまでに10あまりの文学賞を受賞している。『キングコング・セオリー』は2006年に刊行され、ラムダ文学賞を受賞
相川千尋[アイカワチヒロ]
1982年生まれ。フランス語翻訳者。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayan
55
自分達は棚に上げ特定のジェンダーに「わきまえていない」と言掛り排除する。唖然とした発言から2カ月が経つ。本書著者デパントは国は違えどそんな固着、歪んだ価値観に憤りを表す。「市場から排除されたすべての女たちのために」本書を記し「自分の居場所を誰かと交換するつもりもない」と言い「著者であることは他のなによりおもしろい」と言う。これは著者がBLMに対して「何が問題なのかわからない白人の友人たちへ」で「白人である事は忘れることができるが女性であること忘れる事ができない、それが問題の本質だ」と言う点に大きく重なる。2021/03/15
R
37
「女性」という概念について、現代社会が求めるもの、認めるもの、その事実と状況を説明し、強制される憤りを表明した舌鋒鋭い一冊でした。著者の生き様、根幹にパンクがあるので、強い意志を感じるのだが、そのバックボーンに辛い経験もあったりするようで、男性的と呼ばれる思想下にある人々による、言動や思考による弾圧というものへの反発、その理不尽への反抗を読むことができる本でした。2021/05/03
サルビア
18
冒頭の文章に惹かれて読み始めたが、物語ではないので中々読み進めることが出来なかった。17才の時にレイプされた著者は後に娼婦になる。レイプ被害者であるのに世の中ではレイプされるような状況に自分を置いたのが悪いとされ、娼婦でいた時は利用する側の客は非難されることなく、提供した側の娼婦はその仕事内容を人に明かせないし、明かしたところで非難されるべき存在になる。そんな世間の不条理に映像で、音楽で文筆で真っ向から対峙したのがこの著者である。これは女性しか分からないことが多い。2022/09/11
katoyann
17
フランスの作家によるフェミニズムのエッセイ。過去のレイプ体験や売春経験を赤裸々に綴っている。特にレイプ被害に関する記述が生々しい。殺されそうな状況にあり、顔を殴られて、その後も被害について口に出してはいけないのではないかという思いに囚われていたという。 セックスワークの是非やポルノグラフィの功罪まで軽妙洒脱ともいえる筆致で分析してみせるのは作家の腕と言えるだろう。なお、キングコングは実は中性で女性に優しい怪物らしい。知らなかった。タイトルにはそういう意味で性の二項区分に対する批判の意味があるらしい。2023/10/24
くさてる
15
フランスの女性作家によるフェミニズムエッセイ。「女らしさにおける最下層民(プロレタリア)として、私は話している。今までもそうやって話してきたし、今日もまたそうやって話す」力強い、厳しい、強い言葉で、当たり前のことを語っている気がする。良かったです。2020/12/12
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